QM Holzheizwerkeハンドブックの日本語版について

一般社団法人 日本木質バイオマスエネルギー協会

 2050年カーボンニュートラルを宣言した日本ではバイオマスボイラーの導入促進が必要とされています。しかしながら国内のバイオマス温水ボイラ―の設置や運用が化石燃料ボイラ―をベースになされているところから、問題を起したり、効率的な運転がされていない状況がみられています。ヨーロッパでは早くから効率的なシステム設計の教科書と言うべきQMハンドブックや標準配管接続制御スキームがあって適正に運用されております。

 日本木質バイオマスエネルギー協会ではQMシステムを国内に導入するには無圧式温水機として使用されているのが問題のひとつと考え、労働安全衛生法のボイラー規制の見直しを要望し、これを受けて、本年2月に関係法令が改正され同3月以降規制区分が緩和されました。この改正により、伝熱面積32m2以下で圧力0.6MP以下のバイオマス温水ボイラーが簡易ボイラーとして扱えることとなり、ほぼ500kW以下のバイオマス温水ボイラーは熱交換器無しで蓄熱タンクと直接接続し蓄熱タンクの成層温度形成による蓄熱制御が可能となりました。

 QM Holzheizwerkeは1998年にスイスの専門家によって開発されたバイオマス地域暖房プラント向けの品質管理システムの作業グループです。1999年12月26日の嵐「Lothar」で荒廃した森林に薪材が何年も残ったことを受け、QMシステムは連邦政府とカントン州によってより大きな助成を受けるとともに、2004年には、バイオマス地域暖房設備の品質管理(バイオマスDHプラントの品質管理)を共同で提供するために、国際的な作業グループQM Holzheizwerke がスイス、ドイツ、オーストリアで設立されました。

 QMの重点は、熱源プラントと暖房ネットワークの専門的な設計、計画、および実行にあります。重要な品質基準は、高い操作上の安全性、正確な制御、優れた空気衛生特性、および経済的な燃料物流です。プラント全体の効率的で低排出の経済的な運用を目標とされています。

 QM Holzheizwerkeは次のようなシリーズで出版物を提供しています。

  • Volume 1: Q-Guidelines (with Q-plan) (Q-ガイドライン)
  • Volume 2: Standard hydraulic schemes – Part I(標準水流回路スキームパートⅠ)
  • Volume 3: Sample tender for biomass boilers(バイオマスボイラーのサンプル入札)
  • Volume 4: Planning Handbook(計画ハンドブック)
  • Volume 5: Standard hydraulic schemes – Part II(標準水流回路スキームパートⅡ)

 従来これらはドイツ語で書かれて有償でしたが、国際的な普及を目指して従来の3カ国に加えイタリアも参加して2022年に新たに第3版が改訂され英語版とドイツ語版が公開されました。このうち Volume 4: Planning Handbook 計画ハンドブックは、プロジェクトプロセスについて説明し、専門的な計画と実行によって、熱発生設備および暖房ネットワークの品質目標を達成する方法を示しています。そのことからバイオマスに携わる人は一読すべき内容が豊富に記されていますが、ドイツ語であったため敷居の高いものでした。当協会での「木質バイオマス熱利用(温水)計画実施マニュアル」の作成に当たっては、これまでのQMを参考にしましたが、内容の理解に苦労したところです。

 今回の第3版改訂では、これまでの原則等がより分かりやすく記述されるとともに現在の最先端技術シリーズデバイスを備えたマルチボイラーシステム、ヒートポンプと組み合わせた排ガス凝縮、または他のさまざまな中央または分散統合された再生可能熱源(太陽熱エネルギー、地熱エネルギー)とのバイオマス暖房プラントの相互作用などの新しいシステムコンセプト、廃熱、ヒートポンプなども、実際に知識が利用可能であることが確認されています。

 (一社)日本木質バイオマスバイオマスエネルギー協会では、Holzenergie Schweiz(スイス木質バイオマスエネルギー協会)から「ハンドブックを翻訳して公開する権利」を得てこのホームページにPlanning Handbook (計画ハンドブック)を日本語に翻訳してここに公開するものです。

 またVolume 2:Standard hydraulic schemes – Part I(標準水流回路スキームパートⅠ)及びVolume 5: Standard hydraulic schemes – Part Ⅱは蓄熱タンクの有無・単一燃料/多燃料の条件別の具体的に実証されたソリューションシステムを説明しています。これらは組合せ回路別の制御や必要データの記録方法など実績に基づいた要求事項がチェックリストを含めて細かく記述されて、国内バイオマスの関係者が学ぶべき内容が多く記述されており、現在翻訳に取り組んでいます。

 さらに、Volume 1: Q-Guidelines (with Q-plan)(Q-ガイドライン)はQMの標準手順のプロセスについて説明されており木質バイオマス設備の建設に必要な現在の品質要件を定義しています。これらの品質要件は、プロジェクトの開始時に品質計画Qプランを使用して定義されQプランに記載されているマイルストーンが、品質偏差をチェックするために使用されます。このQ-ガイドラインについても引き続き翻訳を予定しております。 前述したような労働安全衛生法におけるボイラーの規制緩和と当協会における「木質バイオマス熱利用(温水)計画実施マニュアル」の作成による効率的な技術の標準化により、木質バイオマス温水利用については、新たな展開の時を迎えています。そのため、当協会のマニュアルはもとより、その基本的考え方の参考となったQMについても読解していただき、これからの木質バイオマス熱利用のあり方を考察し、より効率的で効果的なシステムを実現いただければと考えております。