木質バイオマス発電におけるライフサイクルGHG排出削減に係る自主的取組

FIT/FIP制度によるバイオマス発電については、2023年度から、事業計画認定に当たり温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)に関する基準の適用を受けるとともに、自主的取組を求められることとなりました。その概要を紹介します。

<バイオマス発電におけるライフサイクルGHG排出削減に係る自主的取組について>
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/data_kaitori.html

FIT/FIP制度におけるライフサイクルGHG排出量に関する取扱い

FIT/FIP制度によるバイオマス発電については、ライフサイクルGHG排出量に関し、次により取り扱うこととされています。(※1)

  • 2022年度以降の事業計画認定に当たっては、ライフサイクルGHGを確認できる基準に基づく認定等を取得し、GHG排出量の基準(※2)を満たすことが要件 (1MW以上)。
  • 2021年度までの既認定案件について燃料の計画変更の認定を受ける場合は、使用する燃料の全てについてGHG排出量の基準の適用を受ける。
  • 2021年度までの全ての既認定案件については、「自主的取組」として、GHG排出量の基準に照らした最大限の排出削減に努め、情報開示及び報告が求められる。ライフサイクルGHG排出量の基準が適用されている案件については、「遵守事項」として情報開示及び報告することが求められる。

(※1)事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/guideline_biomass.pdf

(※2)ライフサイクルGHG排出量の基準
調達燃料ごとに基準値(180g-CO2eq/MJ電力)の▲70%(54g-CO2eq/MJ電力)
(2023年4月1日から2030年3月31日までの間は▲50%(90g-CO2eq/MJ電力))

ライフサイクルGHGの情報開示・報告

⑴ 内容

次の情報を開示・報告することが求められており、参考様式が示されています。

  • ライフサイクルGHG排出削減に向けた取組の内容(※3)
  • 設備情報
  • 燃料情報
  • ライフサイクルGHG(※4)
  • 工程毎のライフサイクルGHG(※5)
  • 算定根拠(サプライチェーンの伝達情報)(※4)
  • 発電効率

<ライフサイクルGHG自主的取組様式>(記載要領を含む。)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/data.html

(※3)原則として定量的な情報を盛り込む。

(※4)ライフサイクルGHG基準が適用されない発電所について、ライフサイクルGHGを確認できる基準に基づく認定等を取得していない場合は、ライフサイクルGHGの「確認方法」、算定根拠の「認定団体の名称」は空欄でも差し支えない。なお、国内森林に係る木質バイオマスの「確認方法」とされている「発電証明ガイドライン」(発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン(林野庁))については、令和6年4月1日に改訂され、GHGに関する事項が追加された。
<発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン>https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/biomass/hatudenriyou_guideline.html

(※5)例えば、国内木質チップ(林地残材等)について既定値を用いて算定する場合、輸送工程(原木輸送)、輸送工程(チップ輸送)のそれぞれについて、輸送距離及びトラック最大積載量に応じた既定値が示されており、これを用いて算定する。なお、ライフサイクルGHG基準が適用されない発電所について、ライフサイクルGHGを確認できる情報を含む証票を取得していない場合の輸送距離及びトラック最大積載量は、チップ工場からの聞き取り等により把握する。
<FIT/FIP 制度におけるライフサイクル GHG 計算方法>
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/lifecycleGHG.pdf
<FIT/FIP 制度におけるバイオマス燃料のライフサイクル GHG排出量の既定値について>
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/lifecycleGHG_bio.pdf

⑵ 開示の単位

原則として燃料調達事業者単位で各行に記載することとされています。

(注)燃料調達事業者(チップ工場、素材生産事業者等の発電事業者に燃料を供給する者)の名称の記載は必要とされていない。同一の燃料調達事業者において大きく異なる納入ルートがある場合には納入単位、特定の地域における複数の素材生産業者からごく少量ずつ原木を直接調達している場合はその事業者をまとめた単位とすることも考えられる。

⑶ 開示・報告の方法

発電事業者の自社のホームページ等において情報開示を行うとともに、一般社団法人バイオマス発電事業者協会(torikumi@bpa.or.jp)又は一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会(bio_info@jwba.or.jp)に報告することが求められています。

⑷ 開示・報告の時期

当年度(4月~翌年3月)の実績を、翌年度6月末を目途に開示・報告することが求められています。

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