木質バイオマス発電・熱利用導入のために


木質バイオマスエネルギーによる発電利用や熱利用を推進するため、導入に関する流れやポイント、国の支援策等についてまとめたガイドブックを作成しました。詳しい内容をご紹介しております。これから事業化を検討される方はまずこちらをご覧ください。

こちらからガイドブック(PDF)をダウンロードいただけます。

【2020年3月3日】2020年改訂版を掲載しました。

INDEX

日本の森林はいま

日本は、国土の約3分の2が森林に覆われた世界有数の森林国です。日本の森林面積は2,500万ha(うち人工林は1,000万ha)と、本州(2,310万ha)よりも広い面積を有しています。

森林資源を示す森林蓄積量は約49億m3と、30年前から倍増するほど充実しており、毎年約1億m3増加しています。

森を整備するために伐採した木々等(未利用間伐材等)については、近年、木質バイオマスエネルギーとして注目され、木質チップ、木質ペレット、薪などの形で利用される量が増加しておりますが、未利用間伐材等の収集・運搬にはコストが掛かるため、林内に放置されるものも多くなっています。

「バイオマス」とは、生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉であり、「再生可能な、生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)」のことを呼びます。そのなかで、木材からなるバイオマスのことを「木質バイオマス」と呼びます。

活用が待たれる森林資源

木材の利用は、快適な住環境の形成や地域経済の活性化につながるのみならず、地球温暖化の防止にも貢献します。

特に、国産材の利用は、「植える→育てる→使う→植える」というサイクルを維持して、森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるとともに、山元に収益が還元され、地域の活性化にもつながります。

森林から切り出される樹木の有効な利用方法

森林から出される木々を有効活用するために、『カスケード利用』を進める必要があります。

カスケード利用とは、1本の樹から、家や家具の原料となる製材や集成材、紙の原料となる低質材、ボイラー等の燃料となる木質バイオマス等、最後まで余すことなく使い尽くすことを指しています。

大きな可能性を持つ「木質バイオマス」

木質バイオマスエネルギーによる発電や熱供給は、森林資源を活かした新たなエネルギー源として、大きな注目を集めています。

一方で、日本の林業は、木材価格の低迷や、それに伴う林業の衰退に伴い、間伐の遅れ、林業事業者の高齢化、林業従事者の減少などの課題を抱えています。

豊富な森林資源を持つ日本にとって、木質バイオマスエネルギーの有効活用は、エネルギー転換を目指す現在にとって、新たな価値を生み出すポテンシャルになるとともに、林業が抱える課題を解決する方策の一つとして、大きな可能性を秘めています。

化石エネルギーから再生可能エネルギーへの転換へ

現在、日本のエネルギーは、石油や石炭、天然ガスなど化石燃料にその多くを頼っており、原材料の支払いによって、海外に資金が流出しています。

木質バイオマスを発電や熱供給に有効利用していくことは、国内における原材料の確保、雇用の創出等による地域経済の活性化や森林整備にも寄与しています。

太陽光・風力発電と木質バイオマス発電との相違点

太陽光・風力発電は、自然エネルギーを活用するため、原材料費がかからないというメリットを持っています。ただ、天候や環境に左右されるため、発電量は不安定になりやすい特徴があります。

一方、木質バイオマス発電を稼働させるために、木質バイオマスを購入しなくてはならないですが、電力を安定的に供給できるとともに、地域の木質バイオマス燃料を活用することで地元にも利益をもたらす特徴を持っています。

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)の開始

再生可能エネルギーのさらなる広がりを目的として、2012年7月、再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」(FIT制度)がスタートしました。

FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電された電気を、その地域の電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度です。

電力会社が買い取る費用を電気の利用者全員から“賦課金”という形で集めることで、発電設備の設置コストが高い、再生可能エネルギーの導入を支えます。

バイオマス発電の普及状況

平成24年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)がスター トして、新たにバイオマス発電設備 (メタン発酵ガス発電、一般廃棄物・その他バイオマス発電等を除く)として、認定されている発電所(平成29年3月末時点)は、491ヶ所 で、約1,200万kWの発電容量が 認定されています。

そのうち、認定件数では約84%、認定容量では約95%が、「一般木質・農作物残さ等」による発電になっています。

再生可能エネルギーの導入容量および買取電力量

再生可能エネルギーの導入容量 (新規認定分)は平成29年3月末時点 で3,539万kWになっておりますが、そのうちバイオマス発電は全体の約2%となっております。しかし、FIT制度の買取価格(調達価格)を適用して買い取った電力は約1,525億kWh(RPS法の対象設備からFIT制度に移行した発電所からの買取量含む)で、そのうちバイオマス発電が13% を占めています。

木質バイオマス発電の事業計画策定

平成28年6月にFIT法を改正し、再生可能エネルギ一発電事業計画を認定する新たな認定制度が創設されました。未利用間伐材等、地域の木質バイオマスを燃料として利用する場合は、林野庁や都道府県林務担当部局への事前説明が必要になります。

発電施設 導入のポイント

木質バイオマスを発電施設で導入する際に、重要となるポイントとして、「木質バイオマス燃料」「資金コスト面」「法令関連」「系統接続」などが挙げられます。

木質バイオマス燃料

導入する機器と燃料のマッチングを明確にする

発電施設に導入する設備の中には、燃料の形状や水分(%)(燃料に含まれる水分の割合)などに制限があるケースがある

投入する燃料(間伐材等、一般、建設廃材)の性質に見合った設備を導入する

燃料の供給体制を整備する

発電事業は基幹事業であるため、燃料の不足に陥らない体制を作っておく

木質バイオマス燃料の特性を理解し、燃料の供給計画に配慮する

資金・コスト面

投入する燃料(間伐材等、一般、建設廃材)ごとに、売電価格は異なる

実情に見合った計画を立てる

「燃料の供給能力」 「発電事業における定格出力」等を勘案する

発電所の立地場所によっては、 費用負担が増大するケースがある

立地条件に見合う場所を選定する

立地の際に検討すべき事項

  • 「燃料調達面」
  • 「環境保全・地域環境面」
  • 「送電面」等

法令関連

発電施設の運営には、電気事業や環境、廃棄物対策などの対応が必要となります。

系統接続

事業計画認定に当たっては、あらかじめ電力会社から系統接続について同意を得る必要があります。

発電施設への木材収集

発電施設に燃料を供給するためには、原料となる木を集める『素材生産事業者』、原木からチップを加工する『チップ加工業者』、燃料を運搬する『運送業者』などと、連携を取って、進めていく必要があります。

発電用木質バイオマス燃料の分類と証明書発行の仕組み

木質バイオマスを発電用の燃料として利用する場合には、その原料がどこから伐採され、どのように運ばれて燃料となったのかを証明する「証明書」が必要となります。また、他の種類の燃料とまざらないように「分別」 して「管理」することが求められます。これらが証明できない場合は、産業廃棄物である建設資材廃棄物と同様の 取扱いとなります。

含水率と水分(%)について

固形燃料に含まれる水分の量を表す数値として、一般的に「含水率」(%)が用いられています。

含水率の表示法には、『乾量基準』と『湿潤基準』の2種類があります。

同じ含水率でも木材の場合、形状や寸法を重視する材料利用分野では乾量基準が、形状よりも量を重視する原料利用分野では、湿潤基準が用いられています。

木質バイオマス燃料を使用する場合は、湿潤基準の含水率を使用するので、区別を図るため、このパンフレットでは、『水分(%)』を用いています。

小規模木質バイオマス発電の推進

木質バイオマス発電は雇用の創出や未利用間伐材等の利用による森林整備の促進といった地域活性化効果が大きく、注目が集まっています。

これまでの固定価格買取制度では基本的には5000kW級以上が想定されていました。これに加え、平成27年度から2000kW未満で未利用材を利用する小規模木質バイオマス発電の価格が追加されました。

小規模木質バイオマス発電は、材の集荷範囲が小さく、間伐材の利用を進めやすく、域内循環の拡大につながります。

木質バイオマス発電の集材範囲の競合イメージ

木質バイオマス発電の調達価格・調達期間

木質バイオマス発電の買取価格については平成29年度から一定期間(3年間)は価格を変更しないことになりました。しかし、「一般木質バイオマス ・ 農作物残さ等(一般木質等)」バイオマス発電の認定容量が急増したことに伴い、調達区分が「一般木質等(バイオマス液体燃料以外)」と「バイオマス液体燃料」に分割され、「一般木質等(バイオマス液体燃料以外)」のバイオマス燃料で10,000kW以上の発電を行う際には、買取価格を入札によ って決めることになりました。

木質バイオマス利用ボイラー数の推移と業種別導入数

木質バイオマス利用ボイラー(発電用を除く)は、製造業や農業などを中心に約2,000 台規模のボイラーが設置されており、最近は、公共施設や温泉施設などにおける導入も進んでいます。

未利用木質バイオマスの利用量及び木質ペレット製造施設数と生産量

間伐材・林地残材で、これまで利用されていなかった「未利用材」はFIT制度がスタートして以降、年々増加しており、平成27年、28年には、それぞれ前年から約60%増加しています。木質ペレットの国内生産量は12万トン(平成28年)ですが、そのうち、生産量が年間100~1,000トン程度の小規模のペレット生産工場が約6割を占めています。

木質バイオマス熱利用施設を導入するには

熱利用施設の導入は、発電施設の導入時と同様、『施設導入に向けての検討』『システムの検討』『計画の実行』の3フェーズに分けられます。

ただ、発電施設と異なり、使用する木質バイオマスの量は少ないため、地域内での燃料調達が可能となるケースが多いです。

また、電気事業者特有の手続きの必要がないことから、検討から導入までのスケジュールは、発電施設導入時よりも短縮されます。

木質バイオマス 熱利用施設 導入イメージ

熱利用施設 導入のポイント

木質バイオマスを熱利用施設で導入する際には、その目的と期待する効果を明確にする必要があります。

特に重視するポイントとしては、『経済性・事業性の検討』『規模の適正化』『燃料の見極め』『適切な運用・管理』などが挙げられます。

熱利用の主な用途

熱利用の使用形態としては、「温水」「蒸気」「温風」などがあります。

水を加温する「温水」利用の場合、主に、暖房や給湯、加温などの用途で、温浴施設、福祉施設、宿泊施設等に導入されています。

水を蒸発させる「蒸気」利用の場合、木材乾燥や暖房、消毒などの用途で、木材加工施設や工業施設、熱供給施設等で用いられています。

空気を暖める「温風」利用では、ハウス栽培を行う農家で用いられています。

燃料用木質バイオマス トラブルの要因

熱利用施設に木質バイオマスボイラーを導入した後に、発生する故障やトラブルの原因の8割は燃料の品質によるものです。

木質バイオマス燃料の供給者と、ボイラーの利用者の双方に、燃料の品質に対する理解が求められます。

燃料用木質チップの品質基準

木質バイオマスボイラーにおけるトラブルを回避するためには、ボイラと燃料の相性が重要です。そこで、安心・安全な運用のために燃料用木質チップの品質基準が設けられました。

品質基準では、原料や状態に応じた4つのクラスに分類されています。

木質バイオマスに関連する国の支援策

木質バイオマス利用施設の導入にあたって、関連する国の支援策には、下記のような事業が挙げられます。(令和4年度予算より)

*各画像をクリックすると拡大表示されます。

林野庁

農林水産省

経済産業省

環境省

総務省

文部科学省

木質バイオマスエネルギー利活用相談窓口

木質バイオマスエネルギーの利活用を考えている方に対する相談窓口を、日本木質バイオマスエネルギー協会内に開設しています。

相談窓口では、木質バイオマスの専門家による個別相談が受けられるほか、相談内容に応じて、実際に現場に伺って相談を受け付ける「出張相談」のほか、専用サイトによる情報提供、木質バイオマスエネルギー利用のセミナーによるPR等を行っています。

木質バイオマスエネルギーの利活用に関する問い合わせ先

木質バイオマスエネルギーに関する総合相談窓口

一般社団法人 日本木質バイオマスエネルギー協会
(受付時間 平日 9:30~17:30)
電話:03-6240-1234 メール:mail@jwba.or.jp
http://jwba.or.jp/ (当サイト)

木質バイオマス利用推進の取組に関する問い合わせ

林野庁 林政部木材利用課
担当者:木質バイオマス推進
代表:03-3502-8111(内線6121)ダイヤルイン:03-6744-2297
電話:03-3502-0305
http://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/biomass/index.html

再生可能エネルギー 固定価格買取制度に関する問い合わせ

資源エネルギー庁 お問い合わせ窓口
(受付時間 平日9:00〜20:00)
電話:0570-057-333  PHS,IP電話から:042-524-4261
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_faq.html

木質ペレットに関する問い合わせ

一般社団法人 日本木質ペレット協会
http://www.w-pellet.org/