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第98回 調達価格等算定委員会における議論に対する意見

日本木質バイオマスエネルギー協会では、このほど調達価格等算定委員会における議論を受け、経済産業省資源エネルギー庁に対し「意見書」を提出しました。

意見1 FIT/FIP支援終了後の事業のあり方について(p4-5、p28)

p28に「調達期間/交付期間終了後の稼働停止や、化石燃料の火力発電への移行が懸念されている」としている中で「FIT/FIPによる支援を受けたバイオマス発電所が化石燃料の火力発電へ移行することを抑止するような制度設計について、今後検討」と記載されていることから、「稼働停止」については何ら対応しないというように理解されます。一方、総論のp4では「支援のあり方について、どう考えるのか。」とあります。このため、p28においても「懸念されるところ、これらを抑制するような制度設計について、今後検討」といった表現にしていただくことをお願いいたします。

バイオマス発電にあっては、FIT/FIP制度により相当規模の導入が図られました。そして、現在、FIT/FIP調達期間/交付期間終了後において自立的な事業継続の実現に向けて、発電コストの低減努力を続けているところです。しかしながら、円安の進行等による事業資源の高騰により事業運営が極めて厳しい状況にあります。こうした状況が続きますと自立的な事業継続に移行することが困難となる発電事業者が相当数出現することが予想されます。

こうした状況をご理解いただき、FIT/FIP調達期間/交付期間終了後におきましても、バイオマス発電が継続されるような何らかの支援措置を講じていただくとともに、発電事業者が意欲をもって事業継続を選択できるような市場を育てていただくようお願いいたします。

意見2 FIP制度下における中小規模発電事業者の活動促進に向けた環境整備(p26-27)

木質バイオマス発電事業者がFIP制度のもとで電力市場に積極的に参加し、新たな事業モデルの創出や社会的により高い価値を提供できるよう、特に地域で活動する中小規模発電事業者に向けた環境整備をお願いいたします。

現状では、FIP制度下で運営される木質バイオマス発電所は比較的大型のものが多く、国内材を活用した中小規模の発電所の参入が低調です。これは、大型発電所を運営する事業者が電力市場での経験や知識を有する一方で、人的資源が限られる中小規模の発電事業者では必要な知識や経験が不足していることが原因と考えられます。

早期の市場統合を目指し、中小規模発電事業者がFIP制度下で事業を安定的に遂行できるよう、以下の支援をお願いいたします。

  • アグリゲーターとのマッチング支援
  • 制度情報の説明会やシミュレーションツールの提供
  • バランシングコスト負担の軽減

これらの施策を通じて、中小規模事業者が適切な経営を行い、FIP制度を最大限活用できる環境の整備をお願いいたします。

意見3 非化石市場の活性化に向けた制度強化(p26-27)

非化石市場がより活性化し、非化石価値が一層高い市場性を獲得できるよう、制度強化をお願いいたします。

FIP制度の下での事業機会を得る発電事業者は今後増加が見込まれる一方、現在の非化石市場ではFIT/非FITともに売り入札量に対して買い入札量が不足しています。例えば、2024年第1回オークションでは、FIT非化石市場の参加者数が243社であったのに対し、非FIT非化石市場(再エネ指定あり)の参加者数は35社にとどまりました。また、FIT非化石証書の最低価格(0.4円/kWh)が非FIT非化石証書(0.6円/kWh)より低いため、小売電気事業者にとってFIT非化石証書が価格優位性を持つ状況が続いています。

非化石市場について、以下の点を考慮した市場設計をお願いいたします:

  • 非FIT非化石市場に幅広い対象が入札機会を得られる仕組みの構築
  • 見かけ上の価格優位性で種別間の不公平が生じない設計
  • 売れ残りリスクを軽減する仕組み

これらの改善により、非化石市場が活性化し、再生可能エネルギーの価値が適切に評価される市場形成をお願いいたします。

2024年11月27日
一般社団法人 日本木質バイオマスエネルギー協会

※文中のページ数は以下の資料に対応しています。
第98回 調達価格等算定委員会(2024年11月1日) 
資料3 バイオマス発電について
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/098.html
(2024年11月27日閲覧)