我が国は、その面積の7割が森林に覆われ、世界有数の森林資源を有しています。しかし、現在、林地内に放置されている未利用間伐材等の年間発生量は、我が国の年間木材供給量に匹敵する2,000万立法メートルにものぼっており、これらの有効活用が非常に大きな課題となっています。
いうまでもなく、森林は、二酸化炭素の吸収をはじめ、そこから生産させる木材の使用期間を通じた炭素貯蔵や、化石燃料の使用削減等により、地球温暖化防止に大きな役割を果たしています。また、災害防止、水源の涵養等様々な機能を持っています。
森林がこうした役割・機能を的確に果たしていくためには、林業における採算性の向上、雇用の確保等により、森林の整備・保全と木材の安定供給等を図っていく必要があります。
平成23(2011)年3月の東日本大震災発生から早や1年が経過しました。被災地の復旧・復興に向けて、懸命な取組が行われていますが、再生可能エネルギーの導入促進は、地域資源の有効活用、エネルギー自立、地球温暖化対策、地域経済の活性化等の観点からますます重要になってきています。
このような中、木質バイオマスエネルギーの利用の推進については、関係各方面から、多大なる期待が寄せられています。
既に木質バイオマスによる発電、熱供給に取り組んでいる事業者は相当数いますが、今後より一層、間伐材等の木質バイオマスの利用を進め、再生可能エネルギーの促進に寄与していくためには、(1)間伐材等木質バイオマスの供給側との連携、(2)再生可能エネルギー固定価格買取制度への対応、(3)効率的な収集技術、ペレット・チップ等製造技術、ペレット・チップの円滑な流通、エネルギー(電力、熱)の効率的変換、灰処理技術、(4)木質バイオマスの収集から変換・利用までの有機的な連携システム・仕組・ビジネスモデルの構築、等多くの課題が残されています。
また、木質バイオマスのエネルギー利用を進めるには、木質ペレット、チップ等の品質を一定水準以上に保つこと、併せて、ストーブ、ボイラー等の燃焼機器の適切な性能確保も重要な課題となっています。燃料サイド、燃焼機器サイド等の関係者が連携して取り組むことにより、木質バイオマスエネルギー利用の優位性の理解と、一層の信頼につなげることが必要となっています。
これら課題を解決し、バイオマスエネルギーの適切な利用の拡大を図るためには、関連事業者、関係者が集まり、知恵と情報を結集し、オールジャパンのレベルで木質バイオマスエネルギーの利用の推進について、戦略的かつ総合的に協議する場を設けることが不可欠であると考えております。私どもは、事業者間等の壁を越え、我が国が欧米諸国に肩を並べ得る木質バイオマスエネルギーの利用社会となることをめざし、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会を設立いたしました。
設立の趣旨を是非ともご理解いただき、本協会へご参加いただきますようお願い申し上げます。